2026年10月26日、アイフルがクレジットカード「aiカード」の発行を開始しました。国際ブランドはVISA、年会費は無料です。ショッピング限度額は1万円から30万円、支払いはリボルビング払い専用で、アプリから申し込めばバーチャルカードを先に使える仕組みです。カードローンが本業の会社が、なぜ今カードなのでしょうか。
先行事例を見ると、流れはすでに始まっています。プロミスは三井住友カードと提携し、2023年3月27日に「プロミスVISAカード」の発行を始めました。土台は三井住友カード(NL)で、プロミスのカードローンとクレジット機能を1枚にまとめ、年会費は永年無料です。モビットも三井住友カード発行の「モビット VISA-W」を展開しています。一方のアコムは提携型ではなく、自社発行の「ACマスターカード」を長く続けている老舗です。そしてレイクは、現在クレジットカードを発行していません。レイクにはGEの時代にカード事業がありましたが、その事業は2009年2月に撤退しています。「SBIグループ内の重複整理が進んでいないからではないか」という見方もありますが、公表資料で確認できる出発点はこの2009年の撤退であり、遅れの理由を断定することはできません。
参入の背景としてまず挙げられるのが、貸金業の収益構造の変化です。2006年の貸金業法改正(2010年に完全施行)で上限金利が引き下げられ、年収の3分の1を超える貸付を原則禁止する総量規制が導入されました。過払い金返還の負担も、業界全体の収益を長く圧迫しました。貸付だけで残高を伸ばすことが、構造的に難しくなったのは事実です。
ただし、理由はそれだけではありません。クレジットカードのショッピングは、貸金業法の総量規制の対象外です(キャッシングは対象になります)。つまり、貸付では届かない領域で残高を育てる余地があります。加えて、加盟店手数料という貸付とは別の収益源が得られ、aiカードやモビットVISA-Wのようにリボ払いを軸にした設計なら、貸付に近い収益構造も作れます。さらにキャッシュレス決済が日常になった今、既存のローン顧客に決済手段を持ってもらうことは、顧客との接点を増やす意味でも合理的です。利用する側から見ても、借入専用のカードしかなかった会社が決済カードを持つことで、借入と買い物の履歴を一つのアプリや明細で管理しやすくなるという変化があります。
次にブランドの問題です。新規カードがVISAに偏り、JCBで始まらないのはなぜでしょうか。国際ブランドは、発行会社と提携先との契約で決まるもので、多くのカードは1商品につき1ブランドに絞られます。ライセンス、審査や決済のシステム、運営コストを考えれば、絞ること自体は自然です。
SMBCグループの場合は特に分かりやすく、三井住友カードはVISAを主力とし、プロミスVISAカードも三井住友カード(NL)が土台ですから、プロミスとモビットがVISAになるのはグループの力学どおりです。三井住友カードのJCBは、2024年に吸収したセディナ・OMCの流れを引き継いだものが中心で、新規発行は停止されており、SMBC JCB CARDも2026年9月30日で新規申込を終了しました。JCBが縮小していくという印象は、数字の上でも裏づけられます。そもそもJCBと消費者金融の接点がなかったわけではなく、プロミスは1999年にGCと提携してJCBカードを発行し、2000年には自社発行も始めましたが、2009年に取扱いを終えています。
ブランド固定は他社でも一般的です。エポスカードは公式にVISAのみ、アマゾンのカードはマスターカードのみでVISAは選べず、コストコの提携カードもマスターカードです。発行会社や提携先の条件が、そのままブランドになるわけです。かつてはマスターカードのほうが消費者金融にライセンスを出しやすかったという記憶をお持ちの方もいるかもしれませんが、少なくとも現在の新規参入は、VISAの提携網に乗る形が主流になっています。なお、アイフルがVISAを選んだ具体的な理由は公表されておらず、加盟店網の広さなどが理由として考えられるものの、推測の域を出ません。
結論として、消費者金融のクレジットカード参入は、貸付収益の細りだけでは説明できません。総量規制の対象外であるショッピング領域、手数料収益、キャッシュレス化への対応、そして提携先が決めるブランドの力学が重なった結果です。ブランドが制限されることにも、提携と運営上の明確な理由があります。今後レイクがどう動くかを含め、消費者金融とカード会社の勢力図は、しばらく目が離せません。
※本記事は一般的な情報整理を目的としたもので、特定のカードの申込を勧めるものではありません。申込条件や審査の詳細は各社の公式情報をご確認ください。

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