話の腰を折ってしまい申し訳ございません。
資産形成シリーズの番外編、今回は「身近で起きた非常に恐ろしい投資詐欺(未遂)」についての
お話です。
皆さんは「自分は絶対に詐欺には引っかからない」と思っていませんか? 実は、一番危ないのは
その「自信」です。現代の詐欺は、私たちが想像する以上に巧妙で、そしてシステム化されています。今回は、私の職場の従業員が実際に巻き込まれそうになった、生々しい事件を共有し、
強く警告させていただきます。
巧妙な罠:「本物のアプリ」を使わせる
事の発端は、その従業員がSNS(あるいはネット上の広告)を通じて、ある「投資話」に興味を持ったことでした。 相手はプロの投資家を名乗り、手厚いサポートを約束してきます。そして、取引のためにあるアプリをスマートフォンにインストールするよう指示してきました。
そのアプリの名前は「MT5(MetaTrader 5)」。
投資に少しでも明るい方ならご存知でしょう。MT5は、世界中のプロトレーダーや真っ当な証券会社が採用している、超有名で正規の取引プラットフォームです。 過去には「MT4」という旧アプリが
詐欺の温床になり規制が厳しくなりましたが、今度は最新の「MT5」を隠れ蓑にし始めたのです。
「本物のアプリを使っているのだから、この投資話も本物に違いない」 これが、ターゲットの警戒心を根こそぎ奪う極めて悪質な手口です。
違和感だらけの入金指示
アプリの準備が整うと、相手はいよいよ「投資資金の入金」を指示してきます。海外の口座で運用すると説明されていたため、従業員は指定された振込先を確認しました。
しかし、そこに書かれていた振込先は、海外の銀行でも、証券会社の法人口座でもありませんでした。 「日本の、全く見ず知らずの個人名義の口座」だったのです。
普通ならここで「おかしい」と気づくはずです。しかし、すでに「MT5」という正規アプリの存在と、相手の巧みな言葉によって「早く投資を始めて儲けたい」という心理状態(洗脳状態)に陥っていた
従業員は、何の疑いも持たずにATM(またはネットバンキング)から振り込みの手続きを進めてしまいました。
怒りのクレームが、奇跡の生還へ
しかし、ここで予期せぬ事態が起きます。なぜか、その個人口座への振り込み手続きがエラーになり、完了しなかったのです。
投資のチャンスを逃したくない従業員は焦りました。そして、あろうことか自分の利用している銀行の窓口に電話をかけ、こう激怒したのです。
「どうして私のお金が振り込めないんだ! すぐに手続きを進めろ!」
振り込みができないことに対して、銀行に強いクレームを入れたのです。 しかし、電話口に出た銀行員は、冷静かつ毅然とした態度でこう告げました。
「お客様。誠に申し上げにくいのですが、お客様が振り込もうとされているその口座は……現在、
詐欺の疑いで凍結(警戒)されている口座です。絶対に振り込んではいけません」
詐欺被害者の心理状態の恐ろしさ
結果として、この従業員は1円も失うことなく難を逃れました。銀行のセキュリティシステムと、窓口の方のファインプレーのおかげです。
このエピソードの本当に恐ろしいところは、「詐欺に引っかかっている本人が、お金を振り込ませてくれない銀行に対して本気で怒っていた」という事実です。詐欺師は、ターゲットの「欲」を完全にコントロールし、周りの助言すら耳に入らない状態を作り出します。
【警告】個人口座への振り込みは「100%詐欺」
皆様に強烈にお伝えしたいルールはただ一つです。 「投資において、振込先が『個人名義の口座』で
あることは絶対にあり得ない」。
どんなに素晴らしいアプリを使っていようが、どんなに魅力的な利回りを提示されようが、振込先が
個人名であれば、それは間違いなく犯罪グループの口座(トバシ口座)です。
「なんで振り込めないんだ!」と怒る前に、一度深呼吸をして、自分の行動を客観視する
「心のブレーキ」を常に持っておいてください。


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