「60歳まで、その金は一切引き出せない」
これが、iDeCo(個人型確定拠出年金)という制度の最大のルールであり、我々50代にとっては「資金拘束」という名の牢獄です。 しかし、その対価として得られる「節税(全額所得控除)」と「運用益非課税」は、やはり無視できない魅力があります。
第2章で証券会社を選定した私は、次にiDeCoという制度の「中身(どこで、何を買うか)」の解剖に着手しました。 そこで見えてきたのは、金融業界の**「残酷な格差」**でした。
銀行のiDeCoは「大手キャリアの携帯ショップ」だ
iDeCoは、銀行、証券会社、保険会社など、ほとんどの金融機関で取り扱っています。「給与振込口座があるから、いつもの銀行でいいか」 そう考えるのが普通かもしれません。しかし、詳しく調べていくうちに、ある既視感を覚えました。
「これ、携帯電話の契約と同じじゃないか?」
- 銀行・大手証券(対面): 携帯で言うところの「大手キャリアのメインブランド」。駅前の一等地に店舗があり、親切に案内してくれますが、裏では「販売手数料」や割高な「信託報酬(管理コスト)」がかかる商品が並んでいます。長期投資において、高いコストは「確実に元本を削り取る」シロアリのような存在です。
- ネット証券(SBI・楽天など): 携帯で言うところの「格安SIM」や「オンライン専用プラン」。 店舗はありません。手続きも自分でやる必要があります。しかし、「販売手数料は無料(ノーロード)」があたりまえ。信託報酬も極限まで安い優良商品が揃ってます。
退職までの残り時間が短い私にとって、無駄なコストを払っている暇はありません。私は迷わず、コスト競争力の高い「SBI証券」のiDeCo(セレクトプラン)を選びました。
51歳、私のiDeCo配分はこれだ(画像あり)
iDeCoのもう一つのリスクは、「商品の入れ替え(スイッチング)」の手間です。 運用成績が悪いからといって頻繁に変えるものではないし、償還(運用終了)されてしまうようなマイナーな商品は避けたい。
そこで私は、「長く持ち続けられる」かつ「ラストスパートをかけられる」商品を選び抜きました。 論より証拠。これが現在の私のiDeCoポートフォリオです。

【内訳解説:合計月額 23,000円】
一般的な「年齢に合わせて債券多めで…」というセオリーを無視し、株式中心の超攻撃型シフトを 敷いています。
- 主力:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 配分:70%(16,100円)
- 理由: 世界経済の中心は依然としてアメリカです。オルカン(全世界)よりも成長力に賭け、アクセルをベタ踏みしています。
- スパイス:EXE-i 全世界中小型株式ファンド(入れ替え対象投資信託)
- 配分:10%(2,300円)
- 理由: S&P500のような大企業だけでなく、これから伸びる中小企業の成長も取りこぼしたくないという「欲張り枠」です。
- 守り神:三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
- 配分:8%(1,840円)
- 理由: ここが私のAB型らしい慎重さです。万が一の株価暴落や有事の際に、逆の値動きをする「金(ゴールド)」を少し混ぜることで、ポートフォリオ全体の精神安定剤としています。
- その他:日経平均 & 全世界株式(除く日本)
- 配分:各6%
- 理由: 国内外への分散投資として添えています。
この配分は、2031年(56歳)の退職、そして60歳の受け取り開始に向けての「ラストスパート仕様」です。 手数料という重りを捨て、成長というエンジンを全開にする。 それが、脳梗塞から生還した私が選んだ「お金のリハビリ」の結論でした。
最後に:iDeCoは「最強の牢獄」である
ここまで運用益やコストの話をしてきましたが、私がiDeCoをやる最大の理由は別にあります。 それは「非課税」ではありません。
「60歳まで、どんなことがあっても引き出せないこと」
実はiDeCoの資産は、法律(確定拠出年金法)によって強く守られています。 極端な話、もし私が事業に失敗して自己破産したとしても、iDeCoの資産だけは差し押さえられず、私の手元に残るのです。
使えないのではない。「誰にも奪われない」のです。 この「最強の牢獄」こそが、私の老後を守る最後の砦となります。
さて、守りのiDeCoの話はこれまで。 次回はいよいよ、「狂気の沙汰」と自分でも思う、NISAを使った独自戦略についてお話しします。


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