【番外編2】あなたがネットで得た「儲け話」は死んでいる。草生流が情報戦を完全に放棄した理由

情報

これまで本編全12章、そして過去の番外編を通して、私の血肉となった投資哲学——「給料の50%先取り」や「超攻撃的ファンドへの一極集中」——について、これでもかと語ってきた。

脳梗塞で倒れ、給料は右肩下がり。そんな51歳のホテル管理人が、国が用意したNISAという制度と、クレジットカードの限度額という「枠」をフル活用して築き上げた、死ぬまで生き抜くための要塞の話だ。

だが今回は、少し毛色の違う話をしよう。これまで語ってきた「仕組み」の前提となる、さらに冷酷な真実についてだ。

それは、投資の世界における「情報」という名の甘い罠についてである。

あなたが日々スマホで目にする、SNSのインフルエンサーが発信する「爆益報告」や、ニュースサイトの「今注目の銘柄」という記事。これらに心を動かされ、「自分も波に乗らなければ」と焦ったことはないだろうか?

はっきり言おう。その焦りこそが、あなたをカモにするための撒き餌だ。

情報の鮮度:「0対2」の野球中継

投資における情報の価値を、プロ野球の試合に例えてみよう。「巨人 対 阪神」の試合、現在のスコアは「0対2」だと仮定する。

この「0対2」という情報には、実はまったく価値の異なる3つのフェーズ(段階)が存在する。

①:途中経過(リアルタイム・一次情報) 試合はまさに今、グラウンドで行われている。次の瞬間にホームランが出て逆転するかもしれないし、さらに点差が開くかもしれない。この「生きた情報」を元に、次の展開を予測して行動を起こせる段階だ。 真の勝者、ウォール街のプロたち、あるいはインサイダーに近い人間が動いているのは、このフェーズだけである。彼らは誰も知らないうちに静かに仕込み、静かに利益を確定させる準備をしている。

②:試合終了(確定したニュース・大衆への拡散) 試合終了のサイレンが鳴った直後だ。結果は「0対2」で確定した。もう覆ることはない。 この確定した結果が、ニュース速報やSNSで「阪神が勝った!」と一斉に拡散される。大衆がスマホで目にするのは、この段階の情報だ。

③:過去の試合結果(歴史・チャート分析) 翌日の新聞、あるいは一年後の記録集だ。「あの時、巨人がここで代打を出していれば勝てたのに」という、結果論に基づいた後講釈。完全に死に絶えた情報であり、何の利益も生まない。

あなたが得ているのは「残飯」である

私が何を言いたいか、賢明な読者ならもうお気づきだろう。

投資の素人が、SNSやYouTubeで「この銘柄が熱い!」「億り人が推奨!」という情報を見て飛びつく時。彼らはそれを、自分だけが知った特別な「①(途中経過)」のチャンスだと思い込んでいる。

だが、残酷な真実を突きつけよう。

我々のような一般庶民のスマホにまで届いた時点で、その情報は100%例外なく、「②(試合終了)」か「③(過去の結果)」なのだ。すでにプロたちが食い散らかした後の、冷え切った「残飯」である。

機関投資家や一部の鋭い個人投資家は、①の段階でリスクを取って仕込んでいる。そして、情報が②の段階になり、何も知らない大衆が「今が買い時だ!」と興奮して群がってきたところに、高値で売り浴びせて利益を確定させるのだ。

これを投資の世界では残酷な言葉でこう呼ぶ。

「養分になる」

あなたが必死に働いて得た金で買ったその株は、誰かがずっと前に安く仕込んでいた株の「利益確定売り」を、高値で引き取らされているだけかもしれないのだ。情報のバケツリレーの最後尾で、空っぽのバケツを掴まされていることに気づかなければならない。

なぜ「草生流」は情報戦を放棄したのか?

翻って、私を見てほしい。

地方のホテルでしがない管理者として働き、給料は下がり続け、体には脳梗塞の爆弾を抱えた51歳の男だ。そんな私に、ウォール街のエリートが持つような、鮮度抜群の「①(途中経過)」の情報が入ってくるルートがあるだろうか?

あるわけがない。

私に入ってくる情報は、すべて②か③の「終わった話」ばかりだ。どんなにキラキラしたインフルエンサーが発信していようが、それはすでに誰かの利益確定のために拡散された、死んだ情報なのだ。

だからこそ、私は決断した。「情報戦(タイミングを見計らったトレード)」を完全に放棄すると。

私の戦略に、ニュースは一切不要だ。 アメリカの雇用統計がどうであろうが、日銀が利上げを示唆しようが、どこかの国で戦争が始まろうが、関係ない。

  • 給料が入った瞬間に、問答無用で50%を先取りする。
  • それを、レバレッジFANG+のような超攻撃的ファンドに、毎日機械的に積み立て続ける。
  • 残った金は、2枚のライフカードの限度額内で死守し、最低限の生活を送る。

これだけだ。

タイミングなど一切読まない。いや、読めるわけがないのだ。下手に色気を出して「今は暴落の予兆があるから積立を停止しよう」などと考えた瞬間、私は「死んだ情報」に踊らされるカモに戻ってしまう。

死んだ情報に振り回されて高値掴みし、狼狽売りで資産を溶かすくらいなら、外界からの情報を遮断し、自分の構築した要塞の中で、ただ機械のように積立の弾丸を撃ち続ける。

その方が、私のような持たざる者が底辺から這い上がるための勝率は、遥かに高いと確信しているからだ。

最後に:私の真似をしても、同じ結果は出ない

あなたが今、ネットで見て心が揺らいでいるその「儲け話」は、①だろうか? それとも②だろうか?

もう、死んだ情報に振り回されるのは終わりにしよう。

自分自身のルールを作り、自分だけの要塞を築くこと。外部環境がどうあろうと揺るがない「仕組み」を持つこと。それだけが、我々が資本主義の荒波で生き残るための唯一の道である。

そして最後に、非常に重要なことを伝えておく。

ここまで私の全てをさらけ出してきたが、あなたが草生のやり方をそのまま真似したとして、私と全く同じ結果が生まれることは絶対にない。

あなたが投資を始める時期、あなたの年齢、家族構成、そして何より、暴落が来た時に耐えられる精神的な「胆力」。すべてが私とは違うからだ。

私の手法は、私が私の人生の落とし前をつけるために、ギリギリの精神状態で編み出した劇薬である。

情報を捨て、仕組みを信じ、自分だけの城を築け。 健闘を祈る。

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